今回の投稿では、理科系の本を10冊紹介していきます。
理科系の本と言っても、理工系の学生が読むような参考書ではなく、誰でもスラスラと読めて、学問のおもしろさがわかるような本に焦点を当てています。
ゾウの時間・ネズミの時間
生物学の楽しさや、”それは知らなかった”という驚きを存分に体験できる一冊。生物学の専門的な知識がなくても、スラスラと読めます。
動物のサイズと時間というテーマからはじまり、人に羽を生やしても空を飛べない理由や車輪動物がいない理由など、幅広いテーマが取り上げられています。
ほかにも、「動的平衡」という本がオススメです。動的平衡では、分子生物学者が“生命とは何なのか”について議論しています。「ゾウの時間・ネズミの時間」とはまた違った視点が得られる一冊です。
これが物理学だ!
マサチューセッツ工科大学における物理の講義を本としてまとめたもの。
物理学を学ぶことの意義からはじめて、ニュートンの法則やビッグバンの話、電気・磁気の話、エネルギー保存則など、物理学の楽しさを雄弁に語ってくれています。
著者の体を張った振り子の周期実験などもあり、飽きることなく最後まで読めます。
似たような本として、「世界の仕組みを物理学で知る」があります。こちらの本は、物理学の面白さをより一般の人向けに解説しています。
身近なアレを数学で説明してみる
学校で習った数学が我々の身近なところでどのように使われているのかを解説した一冊です。一戸建ての土地面積に関する話や、マグニチュードの強さに関する話など、「へ~」となる内容ばかりです。また、難しくても高校レベルの数学までで、大学レベルの難しい数式は出てきません。
「数学って本当に役に立つの」と思っている人に強くおすすめしたい本です。
ほかに、「とんでもなく役に立つ数学」という本もおすすめです。この本は、高校生たちと対話をしながら数学の面白さを解説しています。読んでいくうちに、自然と数学に興味がわいてくるでしょう。
もう少しレベルの高い本を読みたい方には、神永正博さんの「食える数学」がおすすめです。乱数や因数分解、フーリエ解析が実社会でどのように使われているかが解説されています。
また、理工系の学生には「物理数学の直感的方法」という本がおすすめです。テーラー展開、固有値、フーリエ変換などが感覚的にわかるようになります。
スーパーヒューマン誕生
人間拡張工学や超人スポーツなどで知られる、東大・稲見先生による一冊。
本書はまず、身体と外界の境界線について考察しながら、人間拡張工学がどういうものなのかを解説しています。
そして、感覚器の役割やVR(バーチャル・リアリティ)を解説しながら、ヒトの“現実感”について考察しています。最後に、ヒトとロボットの未来像(融合するのかなど)について考察しています。
一見、堅苦しそうな感じがしますが、マンガやSF映画の話がふんだんにちりばめられているので、親近感を持ちながら読み進められます。
脳にはみょうなクセがある
脳の妙なクセを事例とともに取り上げた一冊。
脳科学は難しいという印象が先行しがちですが、本書は脳科学の知識が全くない人でもスラスラ読めるようになっています。
以下、読んでいて特に面白いと感じた箇所をまとめておきます。
- 脳は自分が好き… 脳は自分をできる奴だと思い込んでいる。たとえば、運転技術に関するアンケートで、“自分は平均以上”と答える人が半分以上いる。
- 後知恵バイアス… 物事が起きてからそれが予測可能だったと考える傾向のこと。”あのとき株を売っておけば”や”もっと慎重に運転していれば”など…
- 所持効果… 人は所有することにより、そのモノへの主観的な価値が高まる。
- 脳は自己満足する… 人は感情と行動が一致しないとき、その矛盾を解決しようとする。昔の行動を変えることはできないため、感情をあとから無理やり変えることが多い。
人工知能は人間を超えるか
近年話題となっている人工知能に関する本。
実際に人工知能の研究をされている方が、人工知能の役割や歴史・未来を解説しています(とくに、ディープラーニングに焦点を当てています)。
難しい専門用語や数式をあまり使わずに解説しているため、初心者でもしっかりと理解することができます。
人工知能の概要を理解するにはもってこいの一冊です。
理科系の作文技術
日本語の文章の書き方を解説したベストセラー本。
論理展開の順序や文の構造などを解説し、主張が一貫している文章を書く方法を紹介しています。また、曖昧な表現を避ける方法や、事実と意見をきちんと区別して書く方法も取り上げています。
タイトルに「理科系」と入っていますが、文理問わずにおすすめできます。
文章の書き方に関する本であれば、「日本語の作文技術」や「20歳の自分に受けさせたい文章講義」もおすすめです。
理系白書1~3
技術者や研究者のインタビューなどを通して、彼らを取り巻く環境や研究機関・産業界が直面している問題を取り上げた良書。
理系白書1では、恵まれない日本の技術者や研究者の姿が描かれています。
理系白書2では、文理分け教育を問題視し、文理の間にある壁を壊そうという試みがなされています。また、理系白書1に続き、博士号取得者の前に立ちはだかる壁(ポスドクの話など)が紹介されています。
理系白書3では、日本を猛追するアジアを紹介し、日本の技術・研究が抱える問題、秘めたる可能性について言及しています。
理系白書シリーズは発行年が少し古いですが、一読の価値ありです。また、理系白書に加えて、川村元気さんの「理系に学ぶ」という本もおすすめです(文系の方向け)。
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