日本とドイツで就職活動をしてみて [いろいろと考察してみた]

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今回の投稿では、日本ドイツでの就職活動の違いに触れながら、多角的な考察を行っていきたい。

前置きとして、この記事は日本とドイツ (およびほかの国) の社会構造に優劣をつけるのではなく、その2つを比較することの方に焦点を当てている。

それから、私は学士号を日本の大学で、修士号をドイツの大学で取得した。専攻は機械工学であったため、面接をした会社はメーカーが多かった。(なので、この記事で日本企業の話をしていたら、大抵はメーカーのことを指していると思ってください。)

記事の最期の方では、日本の就職活動のこれからについても考察してみたい。

日本とドイツの就職活動(雇用慣行)の違い

まず、日本の就職活動の仕組みについて簡潔にまとめてみよう。日本では新卒一括採用が主流で、学生は一般もしくは学校推薦で会社に応募する。

その際、大枠としての職種 (事務職、総合職、技術職 …) は決まっているものの、自分が具体的にどんな仕事をするのか (ほかにも配属先など) は、ほとんどの場合決まっていない。つまり、人を雇ってから (内定を提示してから) 具体的な仕事を与えているということである。

日本のやり方はあくまでも、基礎能力が備わっている学生を雇って仕事のやり方を教えていく、というものである。また、初任給は学位によって一律に決まっており、給料は年功序列に従って、ある一定の水準まで勝手に上がっていく。(課長や部長に上がれるかどうかは、会社に入ってからの行い次第か。)

こんなことは日本人にとっては当たり前のことなのだが、ほかの国に行ってみるとそうではなかったりする。

たとえば、ドイツ (ほかにもアメリカやイギリス、シンガポール) では、仕事に対して人を雇うのが主流だ。もう少し具体的に言うと、職務内容が先にあり、それに沿って募集要項 (必要とされる学位や能力) が決められている。(これはつまり、諸外国の会社は即戦力を求めているということ。)

ちなみに、ドイツでは職種ごとの給料の相場が州ごとに決まっている (これは労働組合が州ごとにあるため)。たとえば、ミュンヘンであれば理工学系修士の初任給は年収にして55000€ (1€=125円として日本円で700万円弱) くらいである。

さて、日本とドイツの雇用慣行の決定的な違いは、人を雇ってから仕事を与えるのか、仕事に対して人を雇うのか、というところである。これは卵が先か鶏が先かという話であって、そこに優劣はないと感じる。ただ、どちらの仕組みにおいても、いい思いをしている人、苦汁をなめている人がいるのは確かであろう。

ちなみに、日本の雇用慣行の成り立ちと諸外国との比較については、小熊英二氏の「日本社会のしくみ」という本に詳しくまとめられている。500ページほどある分厚い本だが、一読の価値はある。

日本の雇用慣行とその構造的な問題について掘り下げてみる

日本の就活システムで救われる人、報われない人

単刀直入に言って、日本の就活システムは多くの若者を救っていると思う。

というのも、就労経験が一切なくても新卒であるだけで雇ってもらえるというのは、若者にとっては非常にありがたい仕組みなのだ。

私の体感では、就職することだけが目的なのであれば、諸外国にくらべて日本の方がはるかに楽だ (大学を出て、まともにコミュニケーションがとれるだけで雇ってもらえるなんて、ドイツではまずありえない)。

一方で、トップ層の人材は日本の就活システムでは報われない。たとえば、博士課程の学生で、研究成果は抜群によく、加えて英語でも仕事ができる、という人材がいたとしても、いざ企業と面接してみればただの新卒として扱われる可能性が高い。

ある人が周りより明らかに秀でていたとしても、その能力が初任給に反映されない、というのが、日本の就活システムの残念なところである (トップ層の人材が外資系コンサルなどに流れてしまう、というのはよくある話…)。

それから、日本の雇用慣行は一度レールを踏み外してしまった人に対して非常に厳しい。新卒としての就職時期を逃してしまえばそれだけで不利であるし、一度非正規で雇われてしまうと、そこから戻ってくるのは難しい。

バブル崩壊やリーマンショックといった大惨事の年にあたってしまうと、それだけで人生がパーになる可能性がある。

以上まとめてみると、日本の就活システムは多くの若者を救っているものの、そのシステムがあるゆえに報われていない人がいる。

また、学位による学歴よりも、大学名による学歴が社会的に重視されていることも、日本の就活システムに起因していることだと考えられる。

女性の社会進出について

近年、女性の社会進出が注目されている。日本はほかのくらべて○○、などなど、この記事を読んでいる人も、ニュースやネットの記事でそんなことを見聞きしたことがあるのではないだろうか。

私が思うに、日本で女性の社会進出がうまくいかないのは、日本の雇用慣行自体に起因している。

先にも書いたが、日本の雇用慣行では正社員として何年働いたかが重要視されている。つまり、上にいくためには長い年月働かないといけないのだ。

しかしそのやり方では、女性は自分のキャリアをとるか、子供をとるかの二択を迫られてしまう。自分のキャリアをとるのであれば、結婚や出産をする余裕はおそらくないだろうし、一度会社を辞めてしまうとその分後れをとってしまう。

これがもし、仕事に対して人を雇うという制度だったなら、話は変わってくる。今いる会社を辞めたとしても、また別の会社に行けばよい、ただそれだけなのだ。能力があれば、なんら問題はない。

とどのつまり、日本の雇用慣行と女性の社会進出は相性が悪いのではないか

海外の高度人材は日本に来るのか

結論から言って、海外の高度人材 (ここでは技術者や研究者にしておこう) は、日本が好きとか、その人にとって何か魅力的なものがあるとかでない限り、日本 には来ないと思われる。

まず、言語の壁が大きい。日本企業が日本での採用について日本語以外で説明していることは滅多にない (企業側は日本語ができない人を求めていないように思う)。なので、日本語ができない人は採用ページにさえたどり着かないだろう。

次に、日本の採用制度と給与制度には不確定な部分が多い

採用に関しては、職務内容が明確に決まっていない、配属先があらかじめわからない、といった点が挙げられる。(中途採用なら多少話は変わってくるが)

給与に関しても、採用ページを見ただけでは基本給のこと以外はよくわからない (賞与や福利厚生があるが、きちんと説明されていない。また、基本給だけで日本とほかの先進国をくらべると、日本はお話にならない)。

おまけに、日本は働きすぎという国として広く認知されている。 karoshiという英単語があるくらいだ。

さて、この状況を踏まえて、わざわざ日本語を勉強して日本に来たいと思う高度人材が一体何人いるのだろうか… (中途採用ならありえそうだが、新卒採用で日本に来たい人がたくさんいるとは考えにくい)

日本の就職活動の仕組みは変わるのか

私の予想では、日本の就活システム (雇用慣行) はしばらく変わらない。10年後 (2030年頃) に変わっていたら、早い方だと思う (既存のシステムを根本から変えるには長い年月がかかる)。

今の雇用慣行を変えるべきかどうかは私にはわからないが、そこが変わらなければ、女性の社会進出はこれからも厳しいだろうし、トップ層の人材は外資系の企業などに流れていくだろう。

近年では、実力主義や同一労働同一賃金といったことが叫ばれているが、表面的なところだけを変えようとしてもうまくいかないのが関の山だ。

日本のシステムはあくまでも、人を雇ってから仕事を与える、正社員として何年働いたかが主な評価軸 (会社の枠を超えた一般的な評価方法がない)、なのである。

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