ドイツの大学院に進学するまで[大学院留学を実現させるために]

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今回の投稿では、ドイツ大学院(修士課程)に進学するまでの道のりを詳しく解説していきます。

ドイツの大学院(修士課程)の特徴

ドイツの公立大学は授業料が無償

ドイツの公立大学は基本的に授業料が無償です。修士課程も例外ではありません。半年ごとにsocial feeを払わなければなりませんが、そこまで高くないです。

たとえば、ミュンヘンにある大学の social fee は半年で130€ほどです。大学側に払うお金はそれ以外にありません。(social fee は州によって変わります。)

英語で開講される修士のプログラムがある

ドイツの大学の修士課程には、英語で開講されるものがあります。そのため、ドイツ語がまったくできないという方でもなんとかなります。

また、英語で開講されるプログラムには世界中の学生が集います。

国際的な学習環境を求めるのであれば、アメリカやイギリスの大学も候補にあがります。しかし、授業料が高すぎて一般家庭にはとても手に負えません (手厚い奨学金をもらえれば話は別ですが)。

ドイツの公立大学の英語のプログラムであれば、国際的な環境で学べるうえに学費がほどんどかかりません。

DAADという団体が運営しているサイトで、ドイツの大学のプログラム (学士、修士、博士問わず) を調べることができます。DAADは奨学金に関する情報もたくさん載せていますので、ぜひ活用してください。

ドイツの大学院に進学するまでの道のり

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日本とドイツの大学院受験は大きく違います

日本の大学院受験では筆記試験と面接を受けて合否が決まりますが、ドイツの大学院受験では書類選考 (+面接) が通例です。

受験に必要な書類は、大学院の応募サイト上にアップロードすることがほとんどです。コピーした書類を郵送する場合もあります。その際は、ドイツ大使館もしくは領事館でコピー認定が必要になります。

次に注意が必要なことは、たいていのプログラムが10月始まりということです (海外では秋入学/卒業が主流)。

ここでは、10月始まりのプログラムに進学するまでの道のりを紹介します。

  • ~9月(出願の前年)
    留学準備開始
    遅くても、留学開始予定の1年前からは準備を始めましょう。

    まずは、DAADのサイトで修士課程のプログラムを探しましょう。興味のあるプログラムが見つかったら、各大学のホームページで出願条件を確認しましょう。

    それと並行して、留学費用の算出などもしておきましょう。

    海外留学奨学金(DAAD奨学金やJASSOの海外留学支援制度など)の応募期間は、たいてい9~10月です。

  • 1~3月
    ・ドイツの大学院出願
    年が明けたタイミングで、ドイツの大学院のオンライン応募が始まります。大学の成績証明書や語学能力証明書といった出願に必要な書類は、締め切りまでにしっかりと用意しておきましょう。

    プログラムによっては、出願が5月ということもあります。それから、大学院に出願したタイミングで学生寮に応募できることがあります。

  • 5~6月
    合否の発表
    出願から1~2ヶ月すると、合否のお知らせが届きます。大学によっては、合格のお知らせがメール+郵送で来ます。合格していれば、その後のステップなども送られてきます。

    出願した大学院に落ちた場合のことも、事前に考えておいてください。私は行き場所を失わないように、日本の大学院に半年間通っていました。もちろん、担当の教授の了承を得てのうえです。

  • 8~9月
    最終準備
    大学院の合格が決まり次第、留学の最終準備を始めましょう。ドイツでの住居のことやパスポートの有効期限、ビザのこと、保険制度のことをしっかりと把握しておきましょう。
  • 10月
    留学スタート
    待ちに待った留学が始まります。大学院留学を実りのあるものにするためにも、チャレンジできることにはどんどん手を出してきましょう。

ドイツの大学院に出願・入学するために必要な書類

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出願に必要な書類

〇履歴書 (Resume, CV)

日本の履歴書とは体裁がかなり異なるので注意。アピールしたいところは全て書く(インターンシップ経験、海外経験、奨学金需給予定など)。

とくに、”投稿論文書きました”や”学会発表しました”といった経験はしっかりとアピールすること。

Europassを使うと、簡単にCVが作れる。

参考 CVEuropass

〇成績証明書 (Subject and grade transcript of studies)

大学4年間で取得した単位がすべて記載されているもの。全体のGPAが記載されているもの。

応募するプログラムによって、求められる成績は違うので注意。(私が応募した大学院の条件は、ドイツの成績評価システムで2.5以上。実際に足きりがあるかどうかは不明。)

参考までに、私の学部時代のGPAは日本の成績評価システムで2.8/4.0 ほどであった。

〇動機文 (Letter of motivation)

自分がそのプログラムを志望する理由を1~2ページにまとめたもの。大学院で学びたいこと、大学院で学んだことが卒業後の進路にどう生かされるかなど…

私は研究を頑張っていることをしっかりとアピールした。海外の大学からすると、学部4年生が研究するのはめずらしいよう。

〇推薦状 (Letter of recommendation)

担当の教授もしくは准教授 (1~2人) に書いてもらう。A4サイズで1~2ページほど。先生によっては、“自分で書いてこい。サインだけしてやる。”という人もいる (笑)。

〇語学能力証明書

プログラムがドイツ語の場合はドイツ語C1 (理系ならB2でよいところがあるかも)。

プログラムが英語の場合、 IELTSもしくはTOEFLにおいて規定以上の点数があればよい。ケンブリッジ検定が使えることもある。規定以上の点数がなくても、入学まで猶予が与えられることがある。

プログラムによって最低ラインが違うため、進学希望の大学のホームページをしっかりと読むこと。ご存知の方も多いと思うが、TOEICではカバーできないことがほとんど。

合否は主に学部時代の成績、動機文、履歴書、推薦状で決まります。

GPAは変えようがないので、動機文に力を入れましょう。成績はよいほうが有利ですが、そこまでよくなくても合格することがあります。

語学能力証明書は参加資格のようなものです。高い語学能力があれば、それに越したことはありません。

注意
応募する大学院によって必要な書類等が変わる場合があるので、そこは臨機応変に対応してください。

入学に必要な書類 (応募書類に加えて)

〇卒業証明書 (Degree, Diploma)

当たり前のことだが、大学を卒業した証明書がないと入学できない。応募の段階で、卒業見込み証明書が求められることもある。

〇健康保険に加入していることがわかる証明書 (Evidence of student health insurance)

ドイツの大学(院)に入学するためには、健康保険に入らなければならない。

私が入った健康保険はAOKというもの。AOKにメールを送ると、必要書類が電子ファイルで送られてくる。書類に記入して送り返せば、証明書を発行してくれる。ちなみに、ドイツでビザを発給する際にもこの証明書が必要。

間違っても海外旅行保険には入らないこと。海外旅行保険は歯医者の治療費をカバーしていないため、大学側から却下される。あとから旅行保険が解約できないとなると、泣き寝入りするはめになる。そういった事例がよくインターネット上に挙げられている。

〇パスポート (Passport)

自分の写真が載っているページのコピーを求められることがある。パスポートの期限には注意するように。

〇学生証用の写真 (Passport style photo)

ドイツの大学院における合否判定について

一例として、ミュンヘン工科大学・計算力学コースの審査基準を紹介します。

審査基準の一例
一次審査:
書類のみで審査を行う。100点満点中75点以上取れれば、その時点で入学が許可される。64点以下であれば不合格。
二次審査:
一次審査で65~74点だった応募者と面接する。書類と面接の出来で合否を判断。
大学によって審査基準は異なりますが、面接なしで合格できることもあります。

詳しい審査基準に関しては、大学に直接メールを送って確認しましょう。倍率などを教えてくれることもあります。

私のドイツ大学院受験結果について

私はミュンヘン工科大学、シュツットガルト大学、ルール大学、ドルトムント工科大学の計4つの大学院に応募しました。

結果はシュツットガルト大学以外すべて合格 (面接はなし)。第一志望であったミュンヘン工科大学に入学を決めました。

最後に、正規留学と聞くとアメリカ、イギリス、オーストラリアがよく候補に挙げられますが、ドイツも捨てたものではありません。

質の高い授業、国際的な環境、低コストを提供してくれるドイツの公立大学、ぜひ一度検討してみてください

12 Comments

福田

こんにちは!ドイツの学位に正規留学したいと思っている、高校三年生です。

一年開けて来年の秋からミュンヘン工科大学のコンピューターサイエンスに行きたいと思っているのですが、その場合でもドイツ語の勉強は必要ないのでしょうか?
HPには授業は英語であると書いてあったのですが、入学する際にはドイツ語の技能証がなくても可能でしょうか、よろしくお願いします。

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yama9980

こんにちは!
コメントありがとうございます。私の知る限りでアドバイスさせていただきます。

授業がすべて英語で行われるかどうかによります。もしドイツ語の授業もあるのであれば、ドイツ語の技能証も必要になると思います。HP上にrequirementsという箇所があると思うので、そこを入念に読んでみてください。それでもよくわからないという場合は、大学にメールを送ってみてください。

ドイツで住むことを考えると、ドイツ語はできたほうがよいです。私の経験上、授業で困ることはありませんが、日常生活で困ることがたまにあります (たとえば、契約書にサインするときなど)。

また何かあれば、お気軽に連絡ください。
ご健闘お祈りします。
山本

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こんにちは。現在台湾の大学に正規留学しているものです。将来的にミュンヘン工科大学大学院の建築学科に入りたいと思っています。
現在大学一年生なのですがGPAが大学院の規定に届きそうにないです。他の項目でカバーは可能なのでしょうか?
自分の計画としては大学を5年かけて卒業してドイツ語や英語の成績にゆとりを持たせてから受験しようと考えているのですが留年などは試験の合否に響きますでしょうか?
参考資料が少なくて困っています、よかったらご教授お願いします。

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yama9980

こんにちは。コメントありがとうございます。早速、質問の回答をしていきますね。

ドイツの大学院の合否には、志望動機や推薦状なども大きく関与しますので、それらでカバーすることが可能です。それから、”あ”さんは現在大学1年生ということですので、GPAはまだまだ挽回できると思います。

大学を5年で卒業することは特に問題ないと思います。私は日本の大学を5年(通常の4年+留学1年)で卒業しましたが、そのことが大学院の合否に悪い影響を与えたとは思いません。私の周りにも、大学を5年で卒業したという学生が何人かいます。

また何かあれば、お気軽に連絡ください。
山本

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フランク

お世話になります。
ドイツの大学院の会議通訳専攻を考えているものです。(全く理系の専攻ではありませんが、ドイツ留学の情報がなにぶん少ないので3点質問させてください。
1.大学院の書類審査にあたり、受験資格が「学部時代の成績がドイツのスケールで2.0ある者」とありますが、記事に書かれているのを拝見した限りこれは絶対2.0でなければ書類は受け付けない、ということではないという認識で大丈夫ですか?(ちなみに私も学部時代の成績は4.0中2.83でした。)
2.ドイツの大学院の専攻は学士時代の専攻と一致していないと厳しいと伺っていますが、ものすごく厳密に一致してないと書類すら受け付けてくれないのでしょうか?
3.応募者のユニークさなどはどの程度考えてくれるのでしょうか?私は日本の高校を出てすぐにアメリカの州立大学に学士正規留学をして6年かけて学士をとりました。なので第二言語で授業を受けていたのである程度成績が飛び抜けていなくてもその辺りは考慮してくれるのかな?とは考えていますがいかがでしょうか?

長文となり失礼しました。

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yama9980

こんにちは。コメントありがとうございます。早速、質問の回答をしていきます。

1. 求められる成績はプログラムによって異なります。私のほうからは、進学を希望される大学のホームページを確認してくださいとしか言えません。この記事に書いてある”ドイツの成績評価システムで2.5が最低ライン”という条件は、私が受験したプログラム(4つすべて)に限ったことです。実際に足きりがあるかどうかは私にはわかりません。

2. これに関しても、希望される大学に問い合わせてもらうしかないです。私は以前、学部の専攻と違う修士のプログラム(機械工学から情報学)に問い合わせましたが、専攻が違うためダメと言われました。

3. これに関しても、私の口からはなんとも言えません。個人的には、第二言語で授業を受けている学生はほかにもたくさんいるので、そこまでプラスにはならないかと思います。ただし、履歴書や動機文で自分のこれまでの頑張りをアピールすることはできます。

また何かあれば、お気軽に連絡ください。
ご健闘お祈りします。

山本

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NICO

はじめまして
私は社会人でドイツの大学院の正規留学を目指しているものです。
お聞きしたいことがありましたのでコメントさせていただきます。

今はベルリン工科大学を第一志望にしていますが、応募書類の提出締切は来年の5月となっており、6月に面接予定とHPには出ていますが合格発表がいつなのかが記載していません。参考までに受けられた大学院の合格発表までの期間がどのくらいだったか教えていただけないでしょうか?
仕事をしているので引き継ぎ等も考慮すると最低でも渡航の3ヶ月前までには合否が判明しないと難しいなと思っています。

また、ドイツの大学の合格率・倍率はどの程度かわかりますでしょうか?
(学校によるとは思いますが)
合格発表が遅ければ見切り発車で会社を辞めなければならないのですが、
全ての大学院落ちてしまった場合全くの無職になってしまうのではないのかと心配しています。

お手数ですがわかる範囲でお教えいただけると幸いです。
ちなみに専攻は建築学です。

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yama9980

はじめまして。コメントありがとうございます。

私がドイツの大学院に応募した時は、合格発表までに2ヶ月ほどかかりました (応募した4つの大学すべて)。なので、5月応募ということであれば、7月末には合格発表があるのではないかと思います。大学側にメールを送れば、合格発表の日を教えてくれるかもしれません。

倍率に関しても、大学側にメールを送れば教えてくれるかもしれません。参考までに、ミュンヘン工科大学の計算力学コースは応募者700人超えに対して合格者40人ほど、ルール大学の計算力学コースは応募者1500人に対して合格者50人ほどでした。ただし、日本人の応募者は少ないので、受かりやすい傾向にあるのではないかと思います。

ご健闘お祈りします。
山本

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yumi

初めまして。
私は、現在経営学部の2年生で、卒業後はドイツの大学院に留学を考えています。
2つお聞きしたいことがあり、コメントさせていただきました。

1つ目に、入学に必要な履歴書というものはどれほど重要視されるものなのでしょうか?
大学院留学を考え始めたのが最近なので、履歴書にかけるようなことを全くやっておらず、またどのレベルの活動が書けるのかもわからない状態です。

2つ目に、私は一ヶ月のアメリカ語学留学以外の海外の経験はなく、これからの勉強だけで大学院留学というものが可能なのでしょうか?

抽象的な質問で申し訳ないです。ドイツ留学は、英語圏留学に比べ情報量も経験者の方も少なく困っていました。文系のことなのでわかる範囲で全く構わないです。お手数ではありますが、お時間あるときにお答え頂けたら幸いです。

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yama9980

はじめまして。コメントありがとうございます。
早速、質問の回答をしていきますね。
1. 履歴書がどれほど重要視されるのかは、私にはわかりません。個人的には、”自分がこれまでに学んできたことやこれからやりたいことと大学院留学とのつながり”、といったところが履歴書・動機文でしっかりとアピールできていれば大丈夫だと思います。それから、大学の成績がものすごく重要視されます。成績は高ければ高いほど評価されるので、なるべく良い成績をとっておくようにしてください。

2. Yumiさんはまだ大学2年生なので、英語力を上げる時間は十分にあります。試しに、海外の大学のオンライン授業を視聴してみてはどうでしょうか。無料でたくさんの動画を見ることができますよ。オンライン授業の詳細に関しては、”英語で学べる、英語で知識が増やせる海外のサイト10選”という記事をご覧ください

山本

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ユウナ

初めまして。私は専門士が取れるバイオテクノロジー学科がある専門生一年です。
通信大学卒からドイツの理系(工学部など)の大学院に入学は可能でしょうか?探してもイマイチ分からず終いで良ければ分かる範囲で教えてください。

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yama9980

はじめまして。コメントありがとうございます。

日本の通信大学の卒業証明書がドイツで認められるかどうかは、私にはわかりません。Uni assistという団体に連絡していただくのが確実だと思います。

山本

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